僕の彼女はサイボーグ

2008年・日本

監督・・・クァク・ジェヨン

キャスト・・・綾瀬はるか、小出恵介





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スタッフ、役者、ロケ地すべて日本なのに、監督が韓国人というだけで、こうも邦画っぽくなくなるものなのかと思いました。


「猟奇的な彼女」等で世界的に知られるクァク・ジェヨン監督作品ということですが、監督の他の作品はまだは観てないけど、今作の独特の演出、カメラワーク等が力量をうかがえるような映像でした。

その監督の力量ゆえに、“日本映画”をどこかエキゾチックな映画に変えてしまうのかとも思えます。


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まず、ジローの住まいが、違和感があった。
ビルの屋上にあるツタの生えた妙な家。これが、今作の独特の邦画ばなれした雰囲気に一躍買っていましたねえ。
撮影スタジオにセットを組んで作ったそうですが・・・。

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バースデーケーキのギャグ、ペットのイグアナのラウルちゃん(後半で猫のラウルちゃんも登場しますが。)を鍋にするエピソード、桐谷健太のカピバラの糞料理の話、小出恵介のゲロ顔面ダイブ等々…。
やや日本人としては、違和感を覚えるエピソードも、邦画ばなれした印象の要素の一因かと…。

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それから今作の良さは、なんといっても、サイボーグ風味な顔立ち(いい意味で!?)の綾瀬はるかのキュートな魅力と、“頼りない感”をうまく醸し出してる小出恵介のナイスなキャスティングがよかったですね。
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セリフが理屈っぽくなく、説教じみたこともいわないし、力みすぎてクサくないし、それは、綾瀬はるかと小出恵介の脱力系(いい意味で!?)の芝居によるところが大きいんだろうけど…。
、“彼女”に名前をつけてないところとか、自然体の感じが、映画全体のいい感じの、ある意味リアリティにつながってたと思います。

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冒頭のなんだかわかんない間に巻き込まれた京劇のシーンなどは、青春ドタバタ恋愛モノって感じでしたが、なんだか、ワクワクさせてくれる逃避行劇で微笑ましいシークエンスでした。

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ジローの故郷に帰るエピソードでは、サイバーパンクなSF路線から急に昭和の山村のノスタルジックな世界に切り替わる落差のハズし加減がシュールでいい感じでしたね。

そのシークエンスでは、7~80年代にダ・カーポあたりが歌っていてそうなフォークソング風の曲が、まるまるかかりっぱなしなのも良く、なんだか心がジ~ンとくるバッチリの選曲だなあと思いました。
実際は韓国人歌手のイェミンさんという人の曲だそうで、わざわざ日本人アーティストでリメイクして挿入歌にするところも監督のこだわりが感じられました。
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挿入歌としては HI-FI CAMPの「キズナ」も一曲分流れるシーンがありましたが、これまた、ミュージッククリップっぽくてイケてるシーンだった。

時代考証的にはジローの少年時代としては、おかしいけど、ファンタジーな雰囲気づくりにはあってますねえ。

さりげなく、蛭子能収が駄菓子屋のおっちゃん役で出てたりしてるし…。

吉行和子のばあちゃんもよかったなあ。

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その他にも、リポーター役の小日向文世や、22世紀のクラスメイト役に吉高由里子、未来世界のオークション司会者に遠藤憲一、ほかにも寺泉憲、六平直政など…。そうそうたる俳優陣が出て豪華さがありました。


そんななかで、ファッションデザイナー“プリティ・ナカノ”役の伊武雅刀が街頭電光ビジョンに映るだけの役どころでしたが、“妙に”インパクトがありました。どうみても、悪ふざけとしか思えませんでしたが…。(笑)


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昭和の田舎に行ったかと思えば、まさかの大地震のシークエンス!飽きさせない展開でしたねえ。

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容赦なく余震が襲ってくるシーンあたりはリアリティを追求した感がありました。
CGや特撮の出来も素晴らしく、迫力があった。

8年前の映画で、この映像技術の出来も従来のこの手の邦画では、映画全体の雰囲気上、ここまでつくらないでしょう?という印象を感じるとことが、また邦画ばなれした感じを受けました。

今となっては、この映画の後、東北震災や熊本震災も経験した日本人にはショッキング過ぎるシーンとなってしまいましたが…。

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ほかにも、田口浩正演じるマシンガン男のエピソードや蘭山女子高校立てこもり事件で、「ターミネーター」や「ロボコップ」のパロディをとりいれて、リアリティのある映像の中で、“彼女”が懸命に人々を救出するシークエンスは、日本を含め世界的に実際に起こっている凶悪な事件とオーバーラップして、監督のメッセージ性の様なものすら感じました。

それは、映画全体から滲み出る、ジローと“彼女”の“やさしさ”みたいなものにつながっているかと感じられました。

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冒頭でジローが誕生日に出会う“彼女”も、彼女からのプレゼントのマスコット人形も、物語の時間のループになっていてどこがスタートか訳わかんなくなっちゃう。
いわゆる「鶏が先か卵が先か」のパラドックス的なストーリーですが…。

ジローの壮絶な人生を中心としたSFサーガに、タイムループを織り込んだ脚本は、どこか理屈を超越した不思議な感覚をこの映画に持たせ、邦画離れした印象を持たせるのに一躍買っているのではないかと思った次第です。

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